織部さんってやっぱ偉いんだな

 怪我をした箇所にウジを載せるとブラックさんぼーです。どうもこんにちは。季節も移ろい過ごしやすくなりましたねぇ。春先はどうも寝てしまう性分ですが、みなさんは如何お過ごしでしょうか。 



 この時期はなーんか体が言うことをききませんで、春の陽気に誘われつつうとうとしてしまったりしなかったり。というわけで先月は一個もアップできなかったので、今回も模型記事いっときます。

 前回の宣言通りガンプラに飽きたのでスケールモデルを作りました。作業日数そのものは三週間程ですが、まったく作業しなかったりちょっと別件で外に出たりしてたので遅れてしまいました。

 今回作成したのはオッサンホイホイと化しつつあるエアモデルの雄、ハセガワが87年に発売したこちら↓

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「1/72中島キー44ⅱ二式単座戦 鐘馗」



ガンプラに飽きたので、何かスケールモデルをと思って良く考えたら、模型やっててレシプロ機って一度も作ったことが無かったのでチョイスしました。自分が大好きなマンガである松本零士のザ・コクピットから「成層圏戦闘機」に登場する「新撰組」での描かれ方が印象的なのでこれを再現します。ザ・コクピットはいわゆる架空戦記漫画ですが、反戦的で積極臭いセリフもなく、登場人物も人間味豊かで非常に読みやすいマンガです。SF色が出始める途端に微妙になる気もしますが。


 



中島飛行機製作所の鍾馗は太平洋戦争末期に飛来するB-29相手に本土防空を担った局地戦闘機であり、マンガでは実在した「新撰組」と呼ばれた部隊をモデルに、そこを中心に配備されていたそうです。
 *1キットは武装の異なる甲乙丙の選択式のようですが、記載されている資料はⅡ型甲の物のようです。原作では佐渡機以外は12.7mm4門のⅡ型丙だった様ですが、実機資料と噛みあわない点が見られるため詳細は不明です。
 
 今回は原作のイメージ通り再現してもいいんですが、史実であれば誰かの祖父かもしれないパイロットですから、おじいちゃんを尊ぶ気持ちやマンガへのリスペクトを込めて、風情のある和風な仕上がりでやってみようと思います。機体の設定は主な登場人物三人以外の無名の新撰組隊員機としました。
 



■チェック
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 87年発売の古いキットなので現行品と比較してディティールは荒いところが多く、スケールモデルでは彩色が当たり前なのでグレー一色。
 今回はマンガの機体を再現するので再びリサーチが欠かせませんが、調べると昔この原作モデル機がハセガワからも発売されていたようですね。作製された方の完成塗装済みを拝見させて頂いて色を確認しました。

□キット
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 キットの内容物はインスト一枚、ランナー3枚、デカール1枚の5点。出来の良いパイロットフィギュアとネームプレートも付属。
 ボディーは左右貼りあわせのモナカ構造で、プロペラとエンジンをノーズに取り付けてカウルを装着し、底部に主翼と水平尾翼をはめる構造。組立自体は10分もあれば終わります。ディティールが甘かったり形状が違う箇所が複数あるので原作を元に改造しました。

 
■ディティールアップ

□コクピットの作成
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 キットでは風呂桶のようなパーツのみなのでプラ材からのフルスクラッチ。船津3D工房さんの3D画像が解り易かったのでこちらを参考にさせて頂きましたが、実際の工作ではあくまで雰囲気どまりの厳密な物ではありません。
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 計器盤は0.3mmプラ板に窓を開け、裏側からプラ板を貼っています。ガラスは塗装で再現。床はプラ材と極細針金の配線、側面はスロットルや無線機等をプラ材や針金、リベットモールド等を利用。シートはプラ板と真鍮パイプにより床から浮かせた状態を再現。操縦桿は真鍮パイプを曲げて穴を瞬着で閉鎖。
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しかしながら一番肝心なコクピット内部を撮影した写真だけデータが消えてると言う事故。作成途中の写真しか残ってませんで本当に申し訳ないです。







□塗装
 コクピット内部の色指定は青竹色ですが、今回はドイツ軍の軍服に使われるタミヤのフィールドグレーによる基本塗装後、同社コクピット色とシルバーによるドライブラシで仕上げました。

□カウルの改造
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 カウルはカウルフラップが分厚いのでリューターで薄く削っています。



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□エンジンの改造 
 ハ109エンジンのパイピングと形状の修正です。減速機の形状を平たくし、その周囲の輪をモールドで再現。
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 更にこの輪にプラグコード取付用の0.3mm穴を開口して0.28mmの針金でパイピング。ちょっと太いですが、実機でも結構太い線らしいのでこれで行きます。



 次はエンジン取付位置をカウル開口部よりへ変更。胴体との取り付け基部にプラ板を貼って下駄をはかせて1mm前へ。カウル開口部からの露出度を上げたのでちょっと迫力がでるんじゃあないかなぁと思います。いかがでしょう?

□プロペラの改造
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ブレードを覆ってるコーン(スピナー)の底部にプラ板を貼って閉鎖しました。適当にぺたっと貼り付けてニッパーで大まかに切りだしたら、シャフトを電気ドリルに固定して回転させてヤスリを当てて成形しています。




□胴体翼の改造
a0087449_19291664.jpg 翼の前面の淵が分厚いので、削って傾斜を急にすることで解消しています。
 
 前照灯部分は削り込んで、キット付属のクリアパーツのランナーを削り出してクリアパーツを自作しはめ込んであります。



□機銃&ピトー管

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機銃はピトー管はただの細い突起物だったので真鍮パイプで自作。ピトー管は先端を面取りした真鍮パイプに0.5mm真鍮線を差し込んで一段くびれた形状へ変更。予算に余裕があればフィアンモールド製のパーツに交換するのが楽だと思います。



□降着器の改造
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 ランディングギアはカバーが分厚いので淵を削って薄くし、胴体側パーツは0.3mmプラ板で作り直した物です。丸ごと自作したほうが良い出来になると思います。




□照準器の追加
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 照準器は未再現なので自作しましたが、実際の照準器はもっと小さいので少々オーバースケール気味になりました。原作の照準器は海軍98式照準器のように見えましたので、こちらを模した物を自作しました。サイズがサイズなのと全体像不明のためあくまで雰囲気ということで。プラ板の帯板にコトブキヤの◎型リベットモールドに加えてペットボトルのラベルから切り出した極薄プラ板で反射板を作成しています。次やるときは材料を吟味して完全再現と行きたいですね。こちらは全塗装終了後に作業を行っています。*2

 
 

■組み上げ
 コクピットを組み込んで胴体を左右から、主翼は上下で張り合わせて合わせ目けしました。

■胴体翼のスジ彫り修正
 主翼の合わせ目消しで消えたモールドの復活をと思ったのですが、上下でモールドの位置が1ミリずれていたので、元のモールドを瞬間接着剤で埋めて新たに彫り直しました。また古いキットなのでモールド線も浅くシャープさに欠け、後の工程で影響が出るためエッチングノコで全てレタッチしています。。

■塗装
 色ですが、所属や製造された工場、時期によって何種類かの色があるのが軍用機の常で、鍾馗も銀塗装や迷彩と様々だったそうですが、今回はモノクロのマンガからなので過去キットの白指定を参考に上面を濃緑色、下面を無塗装の銀としました。プロペラのスピナーは黄色らしいですが、カラーバランスを考慮に入れて白へ変更しました。
□塗料
・濃緑色:濃緑色*中島系陸軍機(Mr.カラー)
・銀 色:スーパーシルバーⅢ(Mr.カラー)
・黒 色:ブラック(Mr.カラー)
・黄 色:キャラクターイエロー(Mr.カラー)
・赤 色:モンザレッド(Mr.カラー)
・白 色:ホワイト(Mr.カラー)

 今回は後の工程のために全体を銀塗装後、日の丸の描画を行ってからマスキングして本体塗装を行います。これにより塗膜が自然と厚めになるので、スジ彫り等のモールドのレタッチはやっておく必要がありますね。
 
□下地塗装
 下地塗装にはメタルプライマー入りのタミヤスーパーサーフェイサーを使用しました。金属パーツへの塗装にも対応する優れものです。次に銀塗装ですが、綺麗に発色させるなら下地は黒にするのがセオリー。でも今回はやらずにグレーへ直接吹きます。こうすると色が白く曇ってアルミやジュラルミンに近い発色になります。

□日の丸を描く
 お次は難所の日の丸の再現。モデルアートにて非常に効果的な手法が紹介されていたのでこれを使っていますが、サイズ的な都合上ちょっとアレンジしてあります。
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 まず、日の丸を描く箇所の下地を白塗装。次にカッティングマットの裏面にマスキングテープを貼って台紙を作り、同じマスキングテープを重ね張りしてAとします。

 
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ここへコンパスカッターで同心円上の直径16mmと14mmのA1、A2を切り出します。

 
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次に別のマスキングテープ上に直径15mmのBを切り出してA1&A2に重ね張りします。

 この3枚を胴体の白吹きしたところに貼り移します。この時BでA1とA2は固定されているので分離することはありません。
 
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 そしてCを貼り移して円の周囲をマスキングし、A1を剥がして赤を吹きます。この赤が日の丸の赤丸になります。
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 乾いたらA1を貼り戻し、Cを剥がして本体塗装へ移行します。

 主翼裏側は白淵の無いものなので、赤を塗装したあとにコンパスカッターで切り出した円を貼って本体塗装に移行します。

□本体塗装
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 次に濃緑色を機体上面に重ねます。

 下面は日の丸の赤で汚れているのでこれを銀塗装して修正してやります。今回は銀塗装を心持厚めにするので綺麗に消えるはずです。

 ラストはキャノピー前方の防眩板の塗装。こちらはMr.カラーのブラックに少量のジャーマングレーを添加した明るく薄い黒を、通常の半分以下の圧で薄吹きしています。

■エンブレムを描く
 原作の鍾馗は垂直尾翼とフラップに新撰組らしい赤の模様と黒字の「誠」の一字が入っています。残念ながらデカールの作成能力が現在は無く、デカールもハセガワの旧キットから手に入れることも出来ないので、今回は手描きするしかありません。恐らく実機では整備兵によるペンキの手描きではないかと思われます。

 今回は扉絵を縮小コピーをでトレースしたあとカーボン紙で尾翼に転写し、面相筆で修正と描きこみを繰り返して描いてやりました。あんまり綺麗にできませんでした。ごめんなさい。ラストはマスキングテープをギザギザに切り出して赤で模様を描けば完成です。

■汚し
□ダメージ
 ザ・コクピットの作画は全体的に薄汚い演出が多いので、エアモデルでよく使う手法でダメージを入れて雰囲気を出しました。タミヤのフィニッシングペーパー2000とセロハンテープで塗膜をこすり、剥がれたところは大胆にベリッと剥がしました。

 同様にプロペラは低空飛行時や地上でのタキシング中に虫や小石等が衝突して塗装がよく剥がれるそうなのでこちらもペーパーがけによって再現しています。同様に動翼などにも塗装のハゲを再現。

 
 
 

□汚し
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  黒と茶色を混合した焦げ茶でパネルラインやカウル、排気管の周囲に油汚れや排気による煤をエアブラシで塗装してやりました。なるべく進行方向に向かって、前から後ろに流れるように乗せて動きを演出しました。この時日の丸にも色を重ねて汚してやって大戦末期の混沌とした様を演出してみました。

□ウォッシング
 実機はおそらく整備員が一生懸命磨いて洗ってしてしてるんでしょうが、今回は汚しています。エナメル塗料の黒、茶色、カーキを等を混合した焦げ茶で全体にベチャベチャと塗って、拭き取りました。これで色味が大分落ち着くはずです。

□ウェザリング
 足回りはおそらくある程度は埃で汚れているであろうという想像で軽くウェザリングしてあります。あとは艶消しコートを吹いて完成です。ちなみにせっかく銀塗装したのにクリアーのマットコートかよwwwって思われるかもしれませんが、綺麗なピカピカの仕上がりはこのスケールでは余計ちゃちな作りに見えてしまいますし、手入れにも限界がありますからね。

□アンテナ線
 ラストの追加工作でアンテナ線を髪の毛で再現いたしました。釣のラインでも良いんでしょうが、買いに行くのがだるいのですし、どうせ太いので自前の天然素材に頼りました。

■ディスプレイ
 作中の誰の機体を再現したわけでもありませんが、史実であればパイロットは我々の誰かの祖父でしょうし、おじいちゃんを尊ぶ気持ちや原作への思い等を込めて、倒木を使った和風テイストのベースにしました。やっておいてなんですが、普通のオイルステインとかにしたほうがよかったかなぁーなんて思ったり。加工にご協力頂いたO様、製材所のW様、有難う御座いました。
  
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 倒木は山に分け入って拾ったヒノキの根部を製材所でカットして頂き、ニスで仕上げた後に上面に春めいた青芝を再現してみました。タミヤのテクスチャーペイント「草 グリーン」へNATOグリーン、スカイ、コクピット色を混ぜて色調を変え、乾燥後に水性ホビーカラーのサンディーイエローでドライブラシ。その後焦げ茶にアースを添加したエナメル塗料でウォッシングしています。苔にも見えるし芝にも見えるしっていうちょっと曖昧な表現にしていますが、現物を間近で見ると芝だと思います。
 
 旗はティッシュにモデリングペーストを染み込ませたシートに筆ペンで文字を書いています。ポールは自作パーツで取り外しができるように固定は軽く、0.5mm真鍮線で連結してあります。
  





 
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 というわけで完成です。こんな感じでいかがでしょう。レシプロ機初挑戦でいきなりコミック原作物やっちゃったので色々御見苦しい点が多々あって申し訳ない感じです。特に色のコントロールが出来てないところとか素材の持ち味が今一つだとか色々。次回はまたジオラマが出来れば良いな~なんて思ってます。あといい加減名刺作ろうかしら・・・。他所へ加工依頼する時ちょっと辛い物がある。


*1:4月22日記述修正

*2:5月10日記述修正

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Commented by moeru_otoko at 2012-06-02 08:14
こういう模型もいいですねぇ
Commented by さんぼー at 2012-06-03 21:44 x
キャラクター物だと組み立て式可動フィギュアっていう、若干トイ寄りにの解釈にもなりますが、スケールモデルだと調度品としても映えるものがあるので、飾ってみるのもいいかもしれませんよ
by sanbo_cho | 2012-04-20 19:47 | 模型 | Comments(2)

ひたすら模型*製作代行もやってます!


by さんぼ@塗装済完成品売却・納品完了